歯周病患者におけるインプラント治療
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1414CHAPTER 2治療計画の立案1 一般的な治療計画〔部分欠損症例〕1.歯周病患者へのインプラント治療計画 歯周病患者へのインプラント治療は、歯周治療における1つの選択肢としてとらえることが望ましい。したがって、歯周病患者にインプラント治療を選択する際には、一般的な歯周治療の流れの中に、インプラント埋入手術、インプラント上部構造製作が組み込まれる(図1)。 また、インプラント治療を成功に導くには、歯周治療を行うことはもちろんであるが、厳密な術前検査と治療計画の立案が必要である。そして、欠損部位に対するインプラント治療計画だけでなく、一口腔単位の総合的な治療計画を立案し、患者に提示することが望ましい。2.歯周基本治療 インプラント治療を行う場合も、一般的な歯周治療と変わりなく、歯周基本治療から始める。細菌数を減らした環境下で無菌的なインプラント埋入手術を行うためにも、歯周病に感染した歯周組織を改善し、残存歯にみられるすべての感染源を速やかに除去する必要がある。インプラント治療に移行する前に、歯周病およびその他の病変をコントロール下におくことが望ましい。1)プラークコントロールおよびスケーリング・ルートプレーニング 歯周基本治療において、プラークコントロールおよびスケーリング・ルートプレーニングは必須であろう。インプラント埋入が計画されているならば、プラークコントロールを徹底し、歯周病を改善する必要がある。不十分なプラークコントロールは、インプラント治療に悪影響を及ぼすため、インプラント治療を行う前に、患者自身が効果的な口腔清掃法を習得していることが望ましい。2)抜歯 歯周病が重度に進行した歯、あるいは保存不可能と判断した歯(抜歯以外には感染を除去することができないと判断された歯)は早期に抜歯することになる。抜歯によって骨欠損が生じた場合、粘膜の治癒には数週間、骨組織の再生には数か月の治癒期間が必要となる。抜歯症例では、抜歯後の埋入時期に関してさまざまな状況が考えられる(2 骨造成が必要な場合を参照)。3)感染根管治療 根尖病変を有する歯の隣接部位にインプラントを埋入する場合は、感染根管治療終了後、デンタルエックス線写真において、治療前に認められたエックス線透過像が縮小傾向にあり、予後が良好であることを確認する必要がある。図1 治療計画は状況に応じて随時変更する。とくにインプラント治療に進む際には、患者に十分な説明を行い、インフォームドコンセントを成立させることが必要である。初診歯周組織検査・診断歯周基本治療歯周組織検査(再評価)プロービングポケットデプスが浅い場合歯周外科治療歯周組織検査(再評価)インプラント埋入手術Aインプラント埋入手術B歯周組織検査(再評価)メインテナンス口腔機能回復治療・インプラント上部構造製作治療計画の立案プロービングポケットデプスが深い場合一般的な治療計画 〔部分欠損症例〕の流れ(図1)SUMMARY① 一口腔単位の総合的な治療計画を立案する。② 歯周基本治療を行い、口腔内の感染を速やかに除去する。③ 天然歯とインプラントのメインテナンスを適切に行う。

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