摂食・嚥下機能改善と装置の作り方
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27 間接訓練は、実際に食物を食べる直接訓練と比較して誤嚥などのリスクが少なく、手技が容易な訓練も多いため、医療者のみならず、家族などの介助者が行えるという利点があります。しかしながら、効果の出現が緩やかなため、訓練を継続するためのモチベーションを維持することが困難な場合もあります。訓練を継続してもらうのも医療者に必要なスキルですから、訓練の意義をしっかりと説明しながら訓練を進め、長い目で経過観察し再評価を行います。実際には、口腔ケアと並行しながらできる訓練もありますので、口腔ケアを担当している歯科衛生士や介助者に指示をすることも多いです。間接訓練には、主に嚥下にアプローチする方法と呼吸にアプローチする方法がありますが、ここでは嚥下にアプローチする方法を説明します(呼吸の重要性、アプローチはQ13参照)。1)マッサージ、ROM訓練、筋機能訓練 他動的に動かすマッサージ、最大可動域まで動かすROM訓練、負荷を加えて自発的に動かす筋機能訓練を、嚥下にかかわる筋肉、とくに頸部2や口腔周囲、舌を対象に行います(図6)。これらの主な目的は、硬直している部分をほぐす、弛緩している部分に刺激を与える、可動域の拡大、巧緻性の向上などが挙げられます。また、副次的な目的としては、脱感作や覚醒効果、食事の準備運動などが挙げられます。図6a-i a-c:頸部のマッサージとROM訓練。d,e:舌のマッサージとROM訓練。f-i:口唇・頬のマッサージとROM訓練。abcdfheginsweruestionuu訪問診療でできる間接訓練にはどんなものがありますか?第 2 章摂食機能療法の実際<間接訓練>

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