歯科臨床イヤーノート
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134725SECTION 689511 SECTION6 口腔外科・放射線(2)伝達麻酔 浸潤麻酔より奏功範囲が広く,麻酔の持続時間も長い麻酔法である.口腔領域に応用される伝達麻酔の刺入部には,下顎孔と眼窩下孔,上顎結節,大口蓋孔,切歯孔などがある.それぞれの解剖学的な位置関係を把握して麻酔を行う.下顎孔伝達麻酔や上顎結節伝達麻酔では,翼突下顎�や翼口蓋窩に針を刺入するため,出血性素因を有する患者に対しては,麻酔後に血腫を形成するため禁忌である.2)抜歯:永久歯・乳歯(普通抜歯) 抜歯は,歯科医師が行う外科的処置のほとんどを占める高頻度処置である.抜歯は術式の難易度により普通抜歯と難抜歯(複雑抜歯)に区別される.普通抜歯とは,通常の抜歯操作により抜歯鉗子や�子で抜去する術式であり,難抜歯とは歯根形態や性状(癒着など)により,粘膜骨膜弁の剥離翻転,歯冠や歯根の分割,歯槽骨の削去が必要な術式である. 表2に抜歯の適応症と禁忌症を示す.(1)鉗子抜歯①抜歯鉗子の各部名称と把持法(図41~43)・鉗子の嘴部を上方に向け手掌で鉗子の把柄を包む.・鉗子を閉じる力は示指,中指,薬指の3指で加える.・拇指は鉗子の関節部分やや下方におく.・把柄の間に小指を入れる.・小指の指背で鉗子を開閉する.①②図39,40 ①まず麻酔を効かせたい当該歯の根尖相当歯肉頬移行部に刺入する.②歯肉に貧血帯が広がってきたら当該歯の歯間乳頭部に刺入する.③そのまま針を舌側方向に進め,舌側歯肉を麻酔する.④舌側に直接麻酔するが,③で舌側歯肉にも麻酔が奏功しているので,麻酔の量を抑えることができ,刺入時の疼痛を軽減させることができる.③④痛くない麻酔手技(図39,40)

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