歯科臨床イヤーノート
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SECTION 6510PARTⅡ 各科 歯学生が卒業までに最低限履修すべき教育内容として,平成19年度改訂版歯学教育モデル・コア・カリキュラム(表1)が策定されている.臨床研修歯科医は,水準1,2の歯科医療行為だけにとどまらず,水準3程度の歯科治療行為の修得まで必要と考える.本項では,まず基本技術として水準1,2の中から「局所麻酔」「抜歯」について解説する.1)局所麻酔 主に口腔外科領域の治療に応用される局所麻酔技術について解説する.(1)浸潤麻酔 抜歯時に行う浸潤麻酔は,根尖部の骨膜上注射を主体とし,歯肉乳頭注射を併用する.まず,注射針を抜去予定歯の歯肉頬移行部に刺入する(骨膜上).歯肉頬移行部から歯槽頂方向へと麻酔液を行き渡らせるようにして,つづいて歯肉乳頭部に刺入する.そのまま頬(唇)側から舌(口蓋)側に向けて針を進め,舌(口蓋)側にも麻酔を奏効させる(図39,40).下顎大臼歯部舌側にはすう疎な結合組織からなる�が存在しており,炎症がある場合には感染性物質を麻酔液とともに�へと圧出してしまう可能性があるため,麻酔液の量は少なくする.3.治療基本技術水準1水準2水準3水準4指導者の指導・監視のもとに実施が許容される歯科医療行為状況によって指導者の指導・監視のもとに実施が許容される歯科医療行為原則として指導者の歯科医療行為の介助にとどめるもの原則として指導者の歯科医療行為の見学にとどめるもの治療基本技術治療技術内 容・基本的検査・診療録の作成・処方箋の作成・局所麻酔 表面麻酔 浸潤麻酔・手術後処置 抜糸 洗浄・抜歯 永久歯 (簡単なもの)口腔内消炎手術 (小膿瘍切開)・局所麻酔 伝達麻酔・抜歯 乳歯 (簡単なもの)・口腔内消炎手術 (歯肉弁切除)・歯肉息肉除去手術・頬口唇舌小帯整形手術・歯槽骨整形手術・口腔内縫合処置・抜歯 永久歯・乳歯 (困難なもの)・口腔内消炎手術 (顎骨骨髄炎)・口腔外消炎手術・抜歯窩再掻爬術・腐骨除去手術・歯根嚢胞摘出術・入院患者の処置と手術・入院患者の管理・全身疾患を有する患者の歯科治療・抜歯 埋伏歯抜歯・口腔内消炎手術 (骨髄炎)・歯の移植と再植・顎骨腫瘍摘出術・顎堤形成術・骨折の観血的整復術・全身麻酔表1 平成19年度改訂版歯学教育モデル・コア・カリキュラム―教育内容ガイドライン―

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