口腔からウェルエイジング
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口腔の天井:口こうがい蓋とその役目硬こうこうがい口蓋、軟なんこうがい口蓋、口こうがいすい蓋垂を感じてみよう 口の中、すなわち口腔という空間の天井を口こう蓋がいといいます。口腔という空間に上から蓋ふたをするというイメージからこの名前がつきました。自分の舌先を前歯の後から天井に這わせ、後に進めてみましょう。そうすると固い場所から突然柔らかくなります。これは骨の裏打ちがある場所が固く、骨が粘膜の下にない場所が柔らかいからです。それぞれ「硬口蓋」「軟口蓋」と呼ばれます(図1)。 今度は鏡で自分の口腔を覗いてみます。俗に言う「のどちんこ」。これが軟口蓋の後方端の口蓋垂です。軟口蓋は何のために垂れているのでしょう?このことはChapter2 のPart4で後述します。口蓋は咀嚼を助けている 口蓋は咀嚼にとても役に立ちます。歯と歯の間で噛かみ砕くだかれ、唾液が混ざり、お団子状になった食物の一部は、舌の上に運ばれます。 舌はこの食物の一部を硬口蓋に押し付け、最終的に飲み込んでいいかを判断し、よければ奥に送っていきます。すなわち、硬口蓋は咀嚼にも役立つため、硬口蓋の粘膜を「咀嚼粘膜」と呼ぶ場合があります。味と匂いも伝える口蓋 また食物の種類によって、たとえばプリンを食べている時を思い出して下さい。歯でずっと噛んでいますか?おそらく多くの方は、舌の上にプリンをのせ、口蓋に押し付け、つぶしていると思います。 「わざわざ噛み砕かなくていいのなら、飲んでしまえばいい」 と思いませんか? なぜ飲まないで押しつぶすのか? それは押しつぶすことによって“プリンの味”を味わえることを知っているからです。 味の情報は舌だけでなく、口蓋からも脳に伝わります。また、口蓋のうしろから匂いの情報が、鼻 び くう腔を経由して脳に送られ、味と匂いの情報が脳で統合されて始めて「おいしい」と感じることができるのです。子どもの頃、知らないうちに学習したことが、食事をしている動作のなかに無意識のうちに表れるのです。われわれは食物の種類によっておいしく食べる方法を知らないうちに習得しているのです。口蓋には神経が集中している もう一度自分の舌先を、前歯の真ん中の裏側から、軟口蓋までゆっくり這わせてみてください。出発点のあたりと軟口蓋が少しだけくすぐったく感じると思います。出発点と軟口蓋には神経がたくさん分布しているためです。歯の裏側にある神経は、感覚を脳に伝える感覚神経だけがありますが、軟口蓋全体や硬口蓋の後方の両側には感覚神経だけではなく味覚神経も多く分布しています。また、口こうがいせん蓋腺という唾液を出す腺組織も多く分布していて、その分泌をコントロールしている神経も分布しています。Part 618

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