口腔からウェルエイジング
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喉頭は6つの軟骨でできています。その中で甲こうじょうなんこつ状軟骨が俗に言う“のど仏”です。甲状軟骨に指を置き、唾液を飲んでみてください。甲状軟骨を含む喉頭全体が嚥下とともに前上方へ動きますよね(図1)。この動きには嚥下機能にとって実は重要な意味があります。食道上部の括約筋(輪状咽頭筋)は嚥下する時以外は収縮し、嚥下の瞬間だけ緩むことはPart6で解説しました。食塊はこの括約筋が緩むだけでは食道に流れ込むことはできません。大きく広がらなければならないのです。しかしながら食道の筋肉には、この食道の入り口を広げることができる筋肉はありません。そのため、喉頭の力を借りて前方に引いてもらっているのです。喉頭の後面は、食道の前面と結合しており、喉頭の動きに合わせて、食道の入り口が前上方に大きく広がるという仕組みです。喉頭を前上方に動かす筋群①舌骨上筋群をみつけてみよう もう一度、甲状軟骨に指を置いてください。そしてそっと指先を上方へずらしていくと、少し柔らかくなって凹んだあとにまた硬い部分が触れると思います。これが喉頭と筋や靭帯でしっかりつながっている「舌ぜっ骨こつ」です(図2)。舌骨に付着する筋肉の一部は、上方へ走行し下顎骨に付着します。嚥下時、喉頭が前上方へ動くのはこれらの筋群の収縮によるものです。舌骨の上部に位置するため、舌骨上筋群といいます。嚥下反射の瞬間3“のど仏”が動く大切な理由Part 7図1 嚥下の時の“のど仏”の動き嚥下時、甲状軟骨(のど仏)は、前上方へ大きく動きます。42

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