1からはじめるインプラント治療
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56第4章 術前に準備すべき器具・器材と院内のチームワーク当時の治療を振り返って今ならこうする! こうも使える! 患者さんにとってインプラント治療の不安の一つに、抜歯後(手術後)の仮歯の問題がある。 単に形態を合わせただけでは外れる場合も多く、手術直後では出血の問題などから、隣接歯に接着で止めるだけでは不十分なケースもある。 オッセオインテグレーションを待つ間も審美的に不満なく快適に過ごすためには、術前に外れにくく審美的にもすぐれたテンポラリークラウンを用意しておく必要がある。現在では、術前に模型から歯科技工士と相談して上記の要件に耐えうるものを作製している。 図4-20、21の症例では、欠損部当該歯のテンポラリークラウンは模型からワクシングして形態・大きさを審美的に考慮したうえで作製した。また、維持形態としてのウィングは、咬頭嵌合位や偏心位においても接触させないように調整する。なお、ファイバーを適応させることでクラウンの破折や脱離を防止できる。 接着に際しては、筆者は通法に従ってスーパーボンドなどの簡易的接着方法を用いているが、エッチングなどの酸処理は比較的控えめに行っている。 隣接歯がセラミッククラウンや前装金属冠の場合は、ダイヤモンドバーにて隣接面に慎重に小孔を付与し、その内面に充填用のコンポジットレジンを填入して接着させている(図4-22)。なお、患者さんには、あくまでも簡易的なテンポラリークラウンであることを理解してもらい、当該部での咬合負荷を避けるように指示しておかなければならない。 なお、欠損が2歯・3歯の場合で、両隣接歯が天然歯の場合では、レジンのラミネート法を応用したテンポラリークラウンは、埋入部位や周囲軟組織に負荷がかからないので有効である(図4-23、24)。手術前に準備する接着性のテンポラリークラウン図4-20a~c 左上中切歯が歯根破折。抜歯前に模型から接着用の仮歯を準備する。図4-21a~c 抜歯直後は出血があるので、ロールワッテやエアーブローなどにて接着面に血液が付かないように注意する。また、スーパーボンドが流れないようにも注意することが重要である。咬合調整は、抜歯窩への切削片の迷入を防ぐためにも、模型上や装着前に十分に行っておく。abcabc

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