1からはじめるインプラント治療
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14第1章 正しい診査・診断と患者説明 歯科医療の日常臨床の現場において、「治療計画書」や「手術説明書」の文章を患者さんに提示し、治療内容や手術方法、治療費や明細について説明を行うといったコンサルテーションは、近年に至るまでなされていなかったように思われる。しかしながら今日、組織再生医療やインプラント治療・審美治療の進歩から、従来では成しえなかった医療が行えるようになった反面、その医療に対する説明責任や義務も強く求められている。 筆者の医院ではこのような背景から、治療にあたって筆者の医院が患者さんに提示している治療計画書 治療が広範囲にわたり、内容が複雑な場合は、文章などだけでは説明が難しい部分も多い。その時は、患者への説明時に手書き絵や図にて補足している。 本症例は根尖病巣を有する左上側切歯以外には特に大きな問題がなかったことから、当該歯の現状と抜歯への理解について記述するにとどめている。ポイントは綿密な治療計画書を作成・提示し、患者さんの理解を得るようにしている。実際に当院で提示する治療計画書は、大きく以下の3つの項目から構成されている。項目① 患者さんの「現在のお口の中の状況」項目② 取り入れる治療方法や、その必要性を説明する「治療における考え方」項目③ 治療費と明細を示した「お勧めする治療方法・治療費」1-2 患者さんへの説明○○ ○○ さま治療計画書ご説明平成●年●月●日■現在のお口の中の状況 前歯について 左上の前歯(側切歯)は、根の中まで虫歯が進行し、周囲の骨を溶かしています。なおかつ「根」の長さが短く、根の治療を行っても、この歯が長く持つ予知性はございません。 また、下の噛み合う歯の位置が多少前にズレているために、この下の前歯も多少の噛み合せの調整が必要と思われます。■現在のお口の項目①月●日行う治療方法などに関して患者自身で状況を確認できるように、X線や口腔内写真を添付している。おかつ噛合口腔内に根管治療や修復・補綴が施されている場合でも、これらを細かく記載することで、当該部の現状をわかりやすく端的に記述するよう心がけている。

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