口腔筋機能療法 MFTの実際(上巻)
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721.やる気は『やりがいのつみ重ね』 患者がやる気を出すためには、自身が「これをやったら何かいいことがある!」という気持ち、すなわち『やりがい』を具体的に患者が感じる必要があります。 著者らの診療室は矯正歯科専門医院ですので、MFTの対象患者の最終目標すなわち『大きなやりがい』は、『きれいな歯並びを得る』ということです。しかし、すぐそこに行き着くことができるわけではありませんので、治療の途中で感じる不安や、飽きる気持ちをできるだけ解消する工夫が必要です。これにはいくつかの『小さなやりがい』を積み重ねていくことが効果的です。この『小さなやりがい』とは、患者の気持ちのなかに何か「うれしいな」「がんばった甲斐があったな」などのプラスの感情がわき起こるようなものです(図84)。 大切なことは、患者の努力を『正しく評価』して『ほめる』ということです。また、口のなかに生じる変化を具体的に示すことも重要です。この変化を示すためには、前回の状態がどうだったかを写真やビデオなどで記録しておくことが役立ちます(図85)。そし図84 『やる気』は『やりがい』の積み重ね。図85 咬爪癖をやめ、爪が伸びてきたのに伴い、開咬が自然に治癒してきた例。写真を撮っておき、患者に具体的な変化を示すことで、ますますやる気が出てくる。図85a 咬爪癖をやめる前の指先。図85b 爪が伸びてきたようす。図85c 咬爪癖をやめる前の歯列。図85d 咬爪癖をやめた後の歯列。aa○『やる気』を出すためには『やりがい』が必要。<小さな『やりがい』>•ほめてもらった!•ご褒美をもらった!•歯がけっこう動いてきた!<大きな『やりがい』=最終目標>•歯並びが治った!○小さな『やりがい』のつみ重ねにより、大きな『やりがい』=最終目標に導く。bbccdd

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