口腔筋機能療法 MFTの実際(上巻)
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48図44 MFTの指導風景の一例。図45 ビデオ撮影は有用な記録として活用できる。 MFTでは、舌や口唇、のどの筋肉など、患者が普段意識したことのない筋肉に意識を集中させるため、気を散らすような音や視線から隔離した状態を作っておく必要があります。また、練習中に自分の口から出る音が、患者の羞恥心をかきたてる場合もあり、自分がとても特殊で、普通の人よりも劣っているといった誤解を生みだすこともあります。あくまでも、患者が精神的負担を感じずに、自然体で訓練が行えるような楽しい雰囲気作りを心がけるようにします。またレッスン中の音声を録音したり、筋肉の動きをビデオ撮影したりすることが多いため、ある程度の防音がなされているほうがより望ましいです。 部屋のレイアウトに関して特別な決まりはなく、説明用の資料と練習で使用する器具を置くためのテーブルと、指導者、患者、保護者の座るイスがあれば十分ですので、既存の設備を最大限に利用すべきです(図44)。口腔内および顔面写真撮影用のカメラ、シャーカステンなどがあればなおよいのですが、歯科診療用のものと共用してもよいと思います。さらに著者らは、患者の筋肉の動きをビデオ撮影し、有用な記録として活用しています。スペースと機材が許せば、ビデオ撮影ができる場所が確保できるとよりよいと思います(図45)。 なお、練習に使用する器具・設備および指導者の手指などの衛生管理は、基本的な要件です。4.いつ指導を行うか 著者らの診療室では、一週間のスケジュールのうち、MFTを行う日を決めています。歯科診療室内のスタッフである歯科衛生士がMFTの指導の任に就く場合、チェアーサイドアシスタントとのかけ持ちという形を取ると、集中力が分散され、指導の効果が上がり

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