歯科インプラント治療のリスク度チェックとその対応
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に行われることが必要です.そうすることで,最終的に患者のQOLを向上させ,「安心」な治療であったと評価されて,「安全・安心」な歯科インプラント治療が成し遂げられたことになります.そのためには,歯科インプラント治療に対する歯科医師の経験,技術,知識の向上を図ることと,治療を受ける側の患者も,十分に自分自身の全身的状態を理解して治療を受けることが重要であると考えます. 本書は「全身疾患」という,歯科医師としては歯科インプラント治療を安全に行うために,治療を受ける側の患者としては安心して歯科インプラント治療を受けるために重要な情報を,疾患別に,1どのような病気か,2その病気のリスクと初診時にチェックすること(リスク度チェックのフローチャートの提示),3歯科インプラント治療に対して与える影響と対応(①歯科インプラント治療は可能か,②リスク度は,③リスク別にどのような対応になるか,④リスク度が高いケースでの注意事項 など),4文献にみる歯科インプラント治療へのリスク,5かかりつけ医との連携のとり方,6投薬内容の見方と対応,という項目に分け,わかりやすく解説しています.とくに,5かかりつけ医との連携のとり方においては,医師が歯科インプラント治療に対する理解がないことで,歯科医師から患者の全身疾患に関しての対診を受けた場合に医師側からの情報提供が的を射ていないことがあり,十分なコンサルテーションができず,その結果治療に対する安全性を確定できていないという,患者にとって不幸な状況が生じるおそれがあります.その点に関しても,本書からその対診内容の具体性が示されることで,充実した情報提供を得ることが可能になると考えます. 本書から,歯科インプラント治療を行う歯科医師も,受ける患者も,全身疾患によるリスクを十分理解して,安全な歯科インプラント治療を行うと同時に,安心して歯科インプラント治療を受けることができるように役立ててほしいと願います.2012年8月 永原國央参考文献1. 総務省統計局.人口推計 平成24年7月報(平成24年2月確定値,平成24年7月概算値).平成24年7月20日公表(http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201207.pdf).2. 厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室.平成18年国民健康・栄養調査結果の概要 (http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/04/dl/h0430-2c.pdf).

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