口腔外科治療 失敗回避のためのポイント47
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243オトガイ・舌の知覚異常とその対応第4部 術後管理編まれに下顎孔伝達麻酔時に下顎神経を直接に刺入し損傷した報告もありますので,麻酔にも注意をしましょう.Ⅱ 舌神経障害の原因なぜ舌に知覚異常が起きるのか,そんなことはめったにないと思っていませんか.しかし「舌の知覚異常」は現在,歯科治療中のトラブルとして増えており,訴訟にまで発展した事例も多くあります.まず解剖を確認しましょう.下顎神経が下顎孔に入る手前で後下方に分枝を出しています,これが舌神経です(図4‒7‒4).その後,顎下腺方向に下方へ向かい顎下腺神経節をつくってから顎下腺管を潜って口底そして舌へと走行します.下方に向かうとき,舌神経は下顎骨舌側に大幅に近づきます.舌側骨から水平に約2 mm,辺縁から下方に約3 mmとのデータもあります図4‒7‒2 下顎骨内における下歯槽神経の走行(東京歯科大学解剖学教室より提供).図4‒7‒3a,b インプラント埋入前のパントモ画像.歯科用CTで埋入予定部を確認すると下顎管が2本みられる.パントモ画像からは読み取れない所見である.ab舌側舌神経図4‒7‒4 下顎骨内面からみた舌神経の走行.智歯舌側の近くを通る.

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