口腔外科治療 失敗回避のためのポイント47
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147小帯の手術第3部 口腔内処置編離します(図3‒8‒1d).この際,上唇を引き上げ,つねに小帯を緊張させておくときれいに切離できます.⑤創を十分に伸展させるために創面の粘膜下組織を粘膜剥離子や剥離剪刃で剥離します.この操作が不十分だと創が伸展しないだけでなく,縫合の際,緊張がかかり後戻りの原因にもなります(図3‒8‒1e).⑥上唇側の余剰な小帯部を切除します(図3‒8‒1f).不慣れな場合は予定切開線の上をモスキートで小帯を把持し,その下を切離すると容易です.小帯が切離されると菱形の創ができます(図3‒8‒1g).⑦一直線になるよう縫合します(図3‒8‒1h,i).縫合糸は太いものを使用すると異物感が強いうえ,著しい瘢痕の原因になるので細い5-0ナイロン糸が良いでしょう.正中離開部の切歯乳頭部にまで小帯が付着している場合は同部を別個にメスで切離することもありますが,一般にこのような場合はVY-plastyなどの小帯延長術を行うことが望ましいでしょう.●上唇小帯の手術図3‒8‒1a 11歳男児.正中離開があり矯正科からの切除依頼.図3‒8‒1d No.15替刃メスで小帯を歯肉頬移行部まで切離する.図3‒8‒1g 切開後にできた菱形の創.図3‒8‒1b 上唇を上方に引き小帯を緊張させる.図3‒8‒1e 創の粘膜下を剥離剪刃や粘膜剥離子で十分に剥離.図3‒8‒1h 創が一直線になるように縫合.図3‒8‒1c 小帯周囲への浸潤麻酔.図3‒8‒1f 上唇側に残った小帯が多い場合は切除.図3‒8‒1i 縫合終了.

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