口腔外科ハンドマニュアル’12
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DENTAL SURGERY UP-TO-DATEChapter1-133口腔顎顔面外科手術支援システムの現状と将来展望一部を骨折させる術式である.したがって,筆者は術前の手術シミュレーションによる骨切り位置を術中に再現する手段が重要であり,SimPlant® OMSが有している3次元的計測機能を利用して骨切り位置を修正することで,顎骨位置をバイトスプリントを使用しない方法で決定する方法を考案し,術式の改良と併せて一種のナビゲーションシステムを構築した.すなわち,Le Fort I型骨切り術自体を手術シミュレーションソフトウェアにあわせて,上顎ではEpkerらの行っているtrapped osteotomyに準拠して,その垂直骨切り部位を上顎第一大臼歯ブラケットチューブの近心で行い,水平的な骨切りは3次元セファロ分析の基準点を利用して,前歯から小臼歯まではフランクフルト水平基準面に平行で梨状口最外側縁の高さ,臼歯部から後方の骨切りは頬骨下稜最深部(Mx)で行うこととした.こうすることで,両側のtrapped osteotomyのstep部位で手術シミュレーション後のX,Y,Zの3次元方向の移動距離をSimPlant® OMSで計測し,術中に骨面での実測計測を行って上顎骨片を位置づけする手法とした(図15,16).したがって,本法による上顎移動骨片の骨接合は頬骨下稜部から行うこととなり,ロッキングシステムをもつプレートによる調節可能な骨接合が理想である. 下顎の骨切り位置の再現は,上顎同様にSim-Plant® OMSの角度計測機能を用いて行うが,下顎歯列の矯正用アーチワイヤーと外側骨切り位置との角度計測により設定する(図17). 筆者は,前述のように上下顎の手術シミュレーションの際に行った骨切り部位(骨切り線)を精度よ図15a,b 上顎T-Guageによる骨切り位置の設定.図16 術中計測による上顎骨の移動.A-PT-BR-Lba

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