口腔外科ハンドマニュアル’12
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DENTAL SURGERY UP-TO-DATEChapter1-1DENTAL SURGERY UP-TO-DATEChapter1-111 コンピュータ断層撮影(CT)は,Allan M.Cormackによって1964年に発明され,N.Hounsfi eldによって1973年に最初のプロトタイプ機が開発された.本稿では,医用3次元(3D)治療計画の基本的事項について述べる.頭頸部がんの診断,治療および経過観察では,CT,MRIおよびPETを用いた画像診断がゴールドスタンダードになっている.複数の診断装置から得られた画像情報を融合(フュージョン)させることは,最適な診断方法である(図1a,b). 各断層像から得られたボリュームデータセットを用いて,3次元的な解剖学的構造を再構成する1,2.その後,単独で稼働するコンピュータ支援外科手術(Computer Aided Surgery:CAS)システムが開発され,脳神経外科や整形外科および頭蓋顎顔面外科においては一般的に使われるようになった3~5.術前の手術計画や手術中の画像診断に利用されている.口腔外科医は,顎顔面部の再建が複雑な様相を呈していることから,この技術を特定のタイプの手術に適用し始めた.このように,骨格構造の3次元的な表現は,外科手術に正確な診断と治療計画を提供する6. 顎顔面部の複雑骨折の解剖学的な再建計画,あるいは二次的な再建計画は,非常に難しい課題である.したがって,術者は顔面の左右対称性の整復を支援するためにCASを適用した.このシステムは,骨切り術と正中線を基準としたミラーリング法による左右対称形の骨片部の術前治療計画,および手術時のナビゲーションに使うことができる.さらに,コンピュータ上の仮想空間を利用した術前計画は,自家骨移植やアロプラスチック・インプラントを用いての高度な再建のためにも適切な手段である. コンピュータ支援外科手術(CAS)は,①データ収集,②術前治療計画,③手術時の位置合わせ(レジストレーション),④外科的ナビゲーション機器の4つから構成される.データ収集ATLAS コンピュータ支援外科手術(CAS)システムは,通常1~2mmのエックス線CTスライス画像を用いて,3次元の仮想患者を作製する7.さらに,CTとMRIのデータを融合させることは,軟組織と硬組織の両者を調べるには有効なツールであることを示している9.Bittermann G / Metzger MC / Schmelzeisen R髙木多加志 訳(東京歯科大学口腔外科学講座)アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルク口腔顎顔面外科address: Hugstetter Strasse 55, Freiburg, GermanyNavigation and Intraoperative Imaging in Craniomaxillofacial Surgery-an Update Bittermann G / Metzger MC / Schmelzeisen RDepartment of Oral and Maxillofacial Surgery, Albert-Ludwigs-University Freiburgaddress: Hugstetter Strasse 55, Freiburg, Germany特集1:顎顔面外科の技術革新巻頭アトラス 最新の外科潮流を知ろう頭蓋顎顔面外科におけるナビゲーションと術中画像診断の最新情報

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