インプラント症例ファイル2012
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BGI-HBGI-GBGI-PBGI-P2BGI-P3PD<4mm<4mm≧4mm≧4mm≧4mmBOP<10%≧10%≦10%10~50%≧50%C.Rectus++++++P.Gingivalis++++++IL-1b+++++PGE2+++IL-6+TNF-a+G-CSF+RATES+MC+歯肉炎ではC.Rectusが、歯周炎ではP.Gingivalisについて歯周病原因子として相関があった。細菌数が有意になるとIL-1βとPGE2のマーカーが上昇し、もっとも深刻な歯周炎であるBOP50%以上の場合、IL-1βとPGE2に加えIL-6、MCP-1のマーカーも有意に上昇した。 現在、日本人の8割が罹患しているといわれている歯周病は歯の喪失の第1原因となっている。歯周病に罹患している歯は、抜歯をするのか、保存をするのか? 症例において状況は異なり、初診時の診断のみで的確に抜歯の必要性を判定することはいまだに難しいのが現状である。さらにインプラントの出現により予後の不安な歯周病罹患歯の保存の可否がより複雑になってきている。確かに最近では、インプラント治療は予知性の高い治療となってきたが、インプラントにない歯根膜を有する天然歯は重要な感覚受容体となっており、安易に抜歯してインプラントに置き換えることは、歯周病患者において、その予後も含めて総合的に判断されなければならない。 かつて、McGuire1)は歯の予後を判定するにあたり、各歯牙を初診時Good、Fair、Poor、Questionable、Hopelessの5段階に分け、歯周治療後にメインテナンスを行った100名について初診時、メインテナンス5年、8年で診断し、初診時とメインテナンス時の評価を比較した。その結果、メインテナンス時に歯周の状態が改善されている歯牙が多く、特に単根歯の改善が多く見られたと報告した。これは、初診時の診断では的確に予後を判定することができないことを示唆している。一方、きちんとしたメインテナンスの重要性も表している。しかし、同じような歯周ポケットの分布や深さであっても、患者によって喪失数には個人差が生じる。これは、環境因子や後天的要因による免疫応答反応に対する修飾、遺伝的要素による免疫応答反応に対する修飾の存在が原因と考えられている。そこで、臨床で個々の患者がどのようなリスクをもっているのかを、通常の伝統的クリニカルパラメーターを使うことで、患者の免疫応答反応を分類でき保存の有無を決定できるような病態分類法がわれわれには必要であるといえる。 2007年、Offenbacherら2)は6,768名の被験者から生物学的な臨床分類を確立するためバイオフィルム中の微生物と歯肉溝浸出液(GOF)中の炎症バイオマーカーが旧来のPD、GI、BOP、ALとどのようにかかわっているかを明らかにし、さらに修飾因子(人種、性別、年齢、喫煙、糖尿、肥満)を加え生物学的に歯周病の重症度を分類(BGI分類)した(表1)。このBGI分類は、多因性疾患である歯周病を炎症反応のパラメーターでリスク判定が客観的にできるようにしたといえる。初診時BGI-PⅠやⅡで歯周基本治療終了時にBGI-Gへと好転するような患者は免疫反応がよく、予後も期待できると考えられ、当初、保存が難しいと思っていた歯牙も可能性があると診断できる。 このように、現在では通常の歯周治療検査で患者の生物学的要素をBGI分類で判定したうえで、さらに個々の歯牙の予後を決定していくことが望ましいと考える。歯周病罹患歯の抜歯基準を考える:抜歯か?保存か?武田朋子(東京都開業)はじめに歯周病のリスク判定基準表1 BGI分類シンポジウム 歯周病とインプラント16

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