支台歯形成のかんどころ
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2CHAPTER 30 曲面形成を行う場合には、咬合面全体を1.0~1.5mmだけ均等に削除するため、まずテーパードシリンダー状のバーか、その先端を丸めたシャンファー形成用のバー(図2-3)を使用して、咬合面に数か所、深さ1.0mmのガイドグルーブを入れる(図2-4)。削除量を規制するという意味ではどちらのバーを使用してもよいが、できるだけ形成面に鋭利な角を作りたくないので、筆者はシャンファー形成用のバーを使用している。次に同じバーを使用してグルーブ間に残った歯質を削除していけば、咬合面は均等に1.0~1.5mm削除される(図2-5)。 ただしガイドグルーブは咬合面の裂溝の部分だけでなく、咬頭隆線の部分にも入れてやらないと、図2-6のように残った歯質を削除する時に平面的にグルーブをつないでしまい、隆線部分を削除しすぎる危険性があるため注意が必要である。 この時、機能咬頭側はクラウンの強度を考慮してやや多めに(1.5mm程度)削除する。 また従来の成書ではあまり触れられていないため、初心者は気づかないことが多いが、機能咬頭、すなわち上顎であれば舌側咬頭、下顎であれば頬側咬頭は内斜面だけでなく外斜面も削除しなければならない。したがって、この部分にもガイドグルーブを入れて削除量の基準にするとよい(図2-7)。 臼歯部における上顎と下顎の対合関係を断面で見ると、図2-8のように正常咬合ではa、b、cの3点で接触する。すなわちこの3点を含む斜面は、対合歯との間に十分なクリアランスを確保する必要があるということである。 ただ咬合面の中でも隣在歯と近接する辺縁隆線の部分は、無理に最後まで削除しようとすると隣在歯を傷つける可能性があるので、一部残したまま1mm程度手前で止めてもかまわない(図2-9)。残った辺縁隆線の部分は隣接面の形成の時に、必然的に削除されるからである。曲面を均等に削るには図2-4 シャンファー形成用バーを用いて、咬合面に数か所深さ約1mmのガイドグルーブを入れる。図2-5 ガイドグルーブ間に残った歯質を均等に削除する。図2-3 咬合面の削除に使用するバー。上がテーパードシリンダー状バー、下がその先端を丸めたシャンファー形成用バー。曲面を均等に削るためのツールとテクニック原則原則

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