歯科におけるしびれと痛みの臨床
5/8

0442 根管治療後症例6 初診までの臨床経過 初診10日前,近歯科医院にて歯髄炎の診断のもと, の麻酔抜髄処置を受けた.抜髄施行中は,局所麻酔が十分に奏効していたらしく,とくに何も感じなかったが,貼薬時に激痛が生じたことを発端として,右側オトガイ神経支配領域に異常痛と異常感覚が発現した.ピリピリとした,じわーっとした持続痛と,かきむしりたくなるような違和感を自覚し,下顎右側口唇およびオトガイ部の接触によって,その痛みや違和感は増悪した.それは食事,会話などの日常生活に支障をきたし,夜間入眠が困難なほどの著しい痛みであった.翌日,担当歯科医師にその痛みについて訴えたが,「そのうち楽になりますよ」といわれ,頓用にジクロフェナク50mgを処方された.ジクロフェナクを何度か服用したが,まったく効果がなく,その激痛は執拗に持続した.1週間後,根管充填によって,さらに痛みが増悪した.根管充填から3日後,耐えがたい痛みに患者は,他の歯科医院に相談に行き,紹介により当科来院となった.患者の訴え・ピリピリする!・かきむしりたい!・じわーっと痛い!感覚鈍麻ほとんどなしSWテスト1.65(健側1.65)二点識別14(健側11)冷感覚過敏温感覚過敏dysesthesia著しくありallodyniaありparesthesiaなし自覚症状ピリピリ感,じわーっとした痛み右側オトガイ神経感覚障害診断名図1 初診時のパノラマエックス線写真.図2 初診時ののデンタルエックス線写真.初診時所見 (図1,2)根充剤の下顎管内への漏洩オトガイ神経支配領域のしびれと痛み -除痛に難渋した症例(42歳・女性 )-福田謙一

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です