歯科におけるしびれと痛みの臨床
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015Chapter 1 図解 歯科臨床における神経損傷後のしびれと痛みQ1本当にすぐ取れば治る?A1 インプラント体をすぐ除去したとしても,神経に損傷が生じていたとすると,患者の感覚の完全な回復は望めない.インプラント体が,神経を圧迫しただけ,すなわち局在性伝導障害(neurapraxia)で,傷つけていなければ,7~40日でほぼ回復する(Chapter1,3‐1参照).Q2インプラント体をすぐに除去したのは?A2 感覚の症状を訴えている以上,すぐに除去するのが賢明である.エックス線やCTなどで,神経とインプラント体が十分に離れていて,インプラント体による損傷はない(出血や腫れによる圧迫のみ)と確証(Chapter1,3‐1参照)できれば別だが,基本的には,原因として考えられるインプラント体は早急に除去するほうが賢明である.組織の変化 インプラント体が接触し,損傷が生じた下歯槽神経の神経線維は,数分後から損傷部を中心に中枢へと向かう障害変性と末梢へと向かうワーラー変性とが始まる(図1). インプラント体の除去によって,接続が断たれた神経線維間の再接続への進行はより早くなる(図2).障害変性ワーラー変性シュワン細胞12

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