別冊 CAD/CAM YEAR BOOK 2011
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16TECHNICAL REVIEW1.CAD/CAM All Ceramic Framework PROCERA systemの開発当時に製作できたオールセラミックレストレーションのフレームワークは、高密度焼結アルミナ(Densely sintered alumina)を使用した、均一の厚みをもついわゆるシンプルコーピング(Simple coping)であった。この当時はコーピング材料自体の破折強度も現在と比較するとかなり脆弱で、この2つの理由から補綴物の崩壊が数多く確認された。 だがその後、フルカントゥアのワックスアップを行い、その形態と支台歯の2回のスキャンを行う「ダブルスキャニングテクニック」が生まれ、前装用陶材の厚みがより均一になるようなフレームワークの製作が可能になった(図1)。現在ではCADソフトの進歩により、フルカントゥアのデジタルワックスアップ後にカットバックデザインを決定し、個々の症例に適したフレームワークデザインが可能になってきている。とくにジルコニアを用いた審美補綴物の装着後に多発していた前装用陶材のフレームワークからの剥離や、フレームワーク自体の破折が半減したことで、この領域での治療に於ける予知性を格段に向上させた。2.Intra-Oral Scanner 近年、CAD/CAMテクノロジーを応用した歯科治療でもっとも注目を集めているのがIntra-Oral Scan(口腔内光学印象)の技術革新によるいわゆる「デジタルインプレッションテクニック」の進歩である(図2)。これらのテクニックによるデータ取得方法も、初期の光学印象からレーザースキャン、ビデオスキャンなど多種にわたっている。補綴治療の範囲や支台歯/窩洞のデザインによって、使用するスキャナーごとに一長一短があるため使い分ける必要があるとは思うが、治療部位の支台歯/窩洞形成後、システムに応じてスキャニング準備を行い、その後スキャンを行う。 その後の補綴物の製作法としては、①One Day Treatment法:チェアサイド型のミリングマシンで短時間に補綴物を製作し、直接法により患者に試適・装着を行うもの、②アウトソーシング法(間接法):いっそうの精度向上とチェアタイムの短縮を目指してアウトソーシング型のミリングセンターにデータを転送し、そのデータから模型と補綴物製作を行って送信元に返送する方法(いわゆる間接法)、の2種類がある。後者では、補綴治療で長年当然のこととして行われてきた術者による印象採得、なら図1a ダブルスキャニングテクニックの実例を示す。まず、3shape社のスキャナーにより上下顎模型のスキャンを行い、フルカントゥアのデジタルワックスアップを行う。図1b カットバックデザインの確認を行う。図1c 患者は過蓋咬合のため、Lingual Zirconia Occlusal Surface にデザインした。図1d Zirconia Framework。前装用陶材の厚みが一定になるデザインで製作されている。図1e 最終補綴物。図1f 最終補綴物装着後の口腔内状況。(Restoration by Roy Yanase D. D. S.)

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