インターディシプリナリー治療計画
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□□□□■□□□□■□□□□■図1‐14a図1‐14b図1‐14cには、F発音位とV発音位による検討法には限界がある。切縁が大幅に外側へ位置している症例ではきわめて有効な評価法になる。一方、切縁が若干だけ外側へ位置している症例では決め手となる評価法ではないとも言える。したがって、発音位によるこの評価法は確実な手立てになる方法とは言えないが、下口唇に対して切縁が明らかに外側へ位置しているか否かを判定する方法としては有益で、初期の段階における審美分析として実施しておくべきである。上顎臼歯部咬合平面と切縁寄り1/3の傾斜とのなす角度の記録 この評価法はFrank Spear先生から教えていただいたが、きわめて有効な分析方法である。Spear先生は、上顎臼歯部の咬合平面に対して上顎中切歯の切縁寄り1/3の傾斜は直角をなすことが多いと述べてている(図1‐14a)。つまり、この角度が小さすぎることは切縁が唇側寄りに位置することを示し、修復に際しては正常な90°の位置へ改善することになる(図1‐14b)。一方、この角度が大きすぎることは切縁が舌側寄りに位置することを示し、より審美的な直角な位置(垂直)になるよう切縁を外側へ修正したほうが良い(図1‐14c)。 切縁寄り1/3の傾斜が内側(舌側)寄りに位置すると診断されたら、最終補綴物の切縁は外側へ位置させることになるため、支台歯の唇面の削除量は最小限に留めることができ、良好な結果を得やすい。上顎前歯の切縁寄り1/3が下顎前歯の唇側転位のために外側へ位置してしまっている症例がある。この治療に際しては、上顎切歯を理想的に修復できるよう、下顎切歯を矯正治療によって後方(舌側)へ移動することが最善の方策となり、より複雑で困難をともなう術式になる。もし、そのような術式を活用できないことになると、発音に関する問題を生じることがないよう、切縁寄り1/3の位置が診断時よりも外側へ位置しないよう注意を払うべきであろう。結論として、この角度を評価する方法を十分に理解することが切縁の位置の改善には不可欠である。優先事項3:切縁の長さ この優先事項は明らかに重大で、つぎの2段階からなる。安静時の上口唇に対する切縁の露出量の計測と記録 VigとBrundo(1978年)は、安静位における上口唇に対する切縁の露出量(図1‐15)を計測し、患者の年齢、性別、および上口唇の長さとのかかわりあいによって数値が異なることを報告している(表1‐1)。 この研究が実施された時代には、総義歯の教科書にだけ審美歯科についての情報図1‐15図1‐1413

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