インターディシプリナリー治療計画
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1 審美歯科における適正な治療計画のための比率、露出量および長さ・Chiche優先事項1:スマイルライン(切縁線) この優先事項は2段階からなるが、きわめて迅速に分析を済ますことができる。スマイルラインの形態の記録 スマイルライン(上顎切縁線)の形態は4つに分ける。すなわち、凸型、平坦型、凹型、超凸型である。凸型が一般的には好ましい。ただし、患者が現存するスマイルライン形態を良好と考えているかどうかを判定することはきわめて重要である。この判定には、コンポジットレジン製の診断用修復物を活用するのが理想的であるが、遅くともプロビジョナル・レストレーションを装着している期間内に決めておくべきである。図1‐11に示す患者は下口唇の形態が超凸型であったが、旧修復物の平坦なスマイルラインと同じ形態を最終補綴物にも再現してほしいと要望した。下口唇の形態の記録 下口唇の形態は治療の初期段階で把握しておくことが重要である(図1‐12)。通常、下口唇が平坦な形態の場合、凸型のスマイルラインを付与するのには無理がある。ただし、プロビジョナル・レストレーションを活用してわずかな凸型スマイルラインを付与し、これを口腔内で検討した後に、セラミストへ正確に情報伝達して最終修復物を製作する段階を踏めば、可能なこともある。言い換えるならば、下口唇の形態が平坦な症例は治療の早期の段階で判別し、要注意事項として術者は認識せねばならない。そして、プロビジョナル・レストレーションの装着中にスマイルラインの形態を細心の注意を払いつつ調整すべきである。スマイルラインの形態の変更は歯の長さ(3つの基本事項のうちの1事項)の修正を意味する。その場合には、患者が修正内容を具体的に確認して承諾できるようコンポジットレジン製の模倣修復物またはプロビジョナル・レストレーションを用いて試験的に評価しておくべきである。 この優先事項も迅速に分析を済ますことのできる段階である。その最大目標は、術前の切縁の唇舌的位置をそのまま模倣して用いるのか、または、唇側へ出っ張りすぎているから、切縁を舌側方向へわずかに移動させるか、あるいは、舌側へ引っ込みすぎているから、切縁を唇側方向へ移動させるかの判定である。この優先事項は2段階からなる。F発音位とV発音位による切縁と下口唇との位置関係の記録 F子音またはV子音を発音するとき、切縁は下口唇のドライ・ウエットライン(皮膚と粘膜の境目の朱色の部分)よりも内側に位置し、下口唇の閉口路を阻害しない。一般的には切縁が唇側(外側)寄りに位置すると下口唇の皮膚部と接触してしまう(図1‐13)。経験的に言うと、F音またはV音の発音に際して、最終修復物の切縁が下口唇のドライ・ウエットライン付近に接触していれば治療結果としては良好である。しかし、切縁が下口唇のドライな部分(皮膚)と接触すると患者は発音するときに調節をせまられることになり、予知性に問題を生じ、治療結果は良好でないことが多い。実際優先事項2:切縁の唇舌的位置図1‐12図1‐11図1‐1312

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