常在菌との共存を考慮した 口腔粘膜疾患の診断・治療・管理
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口腔カンジダ症1082−8第2章  口腔粘膜疾患 各論 胎児は生まれる前は無菌である。生まれた直後から産道や外界からきたカンジダが侵入して口、食道、胃、小腸、大腸などに定着し、常在菌として生息する。 カンジダの発育様式には、菌糸形と酵母形がある(C.glabrataだけは菌糸形とはならない)。カンジダ酵母 通常、カンジダは病原性を示さない常在菌として存在するが、宿主生体防御能の低下にともない口腔カンジダ症を引き起こす。口腔カンジダ症は、口腔乾燥のある患は物理的に引き合って一次付着するが、その力は弱く簡単に除去される。酵母は唾液や血液のタンパクを介して二次付着し、一次付着よりも力強く付着する。菌糸を伸ばすとさらに強固に付着し、菌糸を上皮下に侵入させると、痛みや発赤などの症状が出て口腔カンジダ症とよばれる(図92、表1)。者の他、ステロイドを服用している患者、抗菌薬を長期に使用している患者、がん患者、高齢者に発症しやすいが、誘因がわからない口腔カンジダ症も多く経験する。また、エイズや終末期の患者で免疫力が低下している場合には、重症化しやすく治りにくい(図93)。酵母形のカンジダは粘膜に物理的な力で引きあって付着するが、付着は弱いため、容易に除去される図92 口腔カンジダ症の発生メカニズムのイメージ。粘膜に付着する唾液や血液中のタンパクを介して、酵母形のカンジダがより強い力で付着するカンジダが菌糸を伸ばすと、粘膜上皮とさらに強く付着する。菌糸が上皮内に侵入すると痛みを生じる表1 口腔から分離されるカンジダ菌種C. albicansC. glabrataC. parapsilosisC. tropicalisC. guilliermondilC. kruseiC. kyfyrカンジダについて口腔カンジダ症のリスクファクター2 - 8口腔カンジダ症

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