常在菌との共存を考慮した 口腔粘膜疾患の診断・治療・管理
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口腔内常在菌181−3第1章  口腔粘膜疾患 総論 新生児が生まれた時、その体は無菌状態である。出産直後から産道や外界から来た細菌が口腔、消化管、皮膚などで増殖して住み着くようになる。皮膚、消化管などの粘膜は、それぞれ環境が異なると、体温やpH、酸化還元電位(嫌気度)、消化酵素などの条件が変わるため、外界から付着した細菌は、環境に適応できる菌だけが住み着き、適応できない菌は他の場所を探して定着する(図8)。  それぞれの器官にはそれぞれ特有の細菌が生息しており、このように定着した細菌を常在菌とよぶ。常在菌はそれぞれの菌や宿主と微妙なバランスをとりながら共存している1)。 胎児は生まれる前は無菌である。出産後、産道や外界からきた細菌が侵入して住み着く図8 常在菌叢の定着。 カンジタは生まれた直後から侵入して口→食道→胃→小腸→大腸に定着していくそれぞれの細菌は住み心地の良い場所に定着する。このようにして、定着した細菌が常在菌である口腔内常在菌の定着 1 - 3口腔内常在菌

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