イラスト・写真・動画で学ぶ!  低侵襲 歯周組織再生療法
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+++重要な文献はこれ!【再生材料を使用した場合と使用しない場合のM-MISTの臨床および放射線写真の結果 :骨内欠損のランダム化比較試験】Cortellini P, Tonetti MS. 『Clinical and radiographic outcomes of the modified minimally invasive surgical technique with and without regen-erative materials:a randomized-controlled trial in intra-bony defects.』 J Clin Periodontol. 2011 Apr ;38(4):365-73.低侵襲 歯周組織再生療法:最新エビデンスに基づく臨床例10て,歯間部骨欠損部の再生スペースをしっかり確保している.また,歯間乳頭・口蓋側に切開を入れないことで,歯間乳頭部の血液供給は非常に良好に保たれている. 歯間乳頭は一度切開し挙上してしまうと,歯根膜からの血液供給はほとんど遮断される.また,口蓋側のフラップを挙上すると骨膜からの血管束も分離されてしまう.歯間乳頭部の血管網について,切開は少なければ少ないほうが,より多く血液供給を獲得することが可能となるのである. M-MISTを用いた歯間乳頭部での初期閉鎖率は97.8%であり,ほぼ100%に近づいた.M-MISTは小さな頬側の窓(small buccal surgical window;以下,SBSW)から骨欠損部へとアクセスし,デブライドメントを行う.よってM-MISTの適応症は,SBSWからデブライドメント可能な骨欠損となる.もし,SBSWからアクセスできないほど骨欠損が広範囲に進行している場合,歯間乳頭部をしっかり切離して舌側フラップを剥離・翻転し,MISTへと移行する必要がある. 術者はつねに患者のために低侵襲な治療を心がけることが重要だが,あまり小さいフラップに固執しすぎるとデブライドメントが疎かになり,歯周組織再生療法は成功から遠のいてしまうため注意が必要である.97M-MISTM-MISTEMDM-MISTEMDTreatmentBMDXCAL gain(mm)Bone gain(mm)4.1±1.43.5±1.04.1±1.23.3±1.23.7±1.33.3±1.1Bone fill(%)77±1971±1878±27 再生材料を使用せずM-MIST単独で治療したグループが,エムドゲインおよび骨移植材を併用したM-MISTグループと臨床的結果に差はなかったとする報告9.骨内欠損に対し3つのグループ(①M-MIST,②M-MIST+EMD,③M-MIST+EMD+BMDX)のラSubjectGroup1n=15Group2n=15Group3n=15▲M-MIST単独は,M-MIST+EMDおよびM-MIST+EMD+BMDXと比べて,CAL gain,bone gain,bone fillにおいて有意差は認められなかった(参考文献9を元に作成).ンダム化比較試験の1年後の結果,CAL gain,bone gain,bone fillにおいて有意差は認められなかった.本文献は,再生材料を用いなくても血餅や創傷の安定を向上させ創傷治癒の潜在的能力を引き出すことで臨床的改善を得られる可能性を示した.M-MIST単独(再生材料なし)でも再生可能!?

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