イラスト・写真・動画で学ぶ!  低侵襲 歯周組織再生療法
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e2saC重要な文献はこれ!【孤立した歯間部骨内欠損の再生療法にM-MISTを応用した創傷安定性の改善】Cortellini P, Tonetti MS. 『Improved wound stability with a modified minimally invasive surgical technique in the regenerative treatment of isolated interdental intrabony defects.』 J Clin Periodontol 2009;36(2):157-163. 2007年にMIST6が発表された2年後,2009年にM-MISTが登場した7.MISTは頬/舌側の両方を剥離・翻転するダブルフラップであったが,M-MISTは頬側のフラップのみを剥離・翻転する,いわゆるシングルフラップである. M-MISTは拡大視野とマイクロインスツルメントメントによるマイクロサージェリーだからこそ可能となる,超低侵襲なフラップデザインである.ただし,M-MISTは単にフラップデザインを小さくしているわけではない.M-MISTは,再生の鍵となる3原則(創傷の保護・スペースの確保・血餅の安定)8が組み込まれた究極のフラップデザインである.歯間乳頭部・口蓋側は切開せず“歯間乳頭を残す”ことで歯周組織の再生に優位な環境をつくり出している.歯間乳頭部は健全側のアタッチメントとしっかり結合し,歯間部の線維によって支持されており,骨欠損という部屋(room)の屋根(roof)の役割とし96健全側のアタッチメントを保存して歯間乳頭を支え,再生のためのスペースを確保する屋根 roofSoft tissue wall血餅Blood clot骨壁Bony wall歯肉壁 M-MISTを用いた歯周組織再生療法の報告.限局した骨欠損であれば,頬側フラップのみ剥離・翻転するシングルフラップで歯周組織再生療法は実行可能であることを示唆した.また,M-MISTは再生の鍵となる3原則(創傷の保護・スペースの確保・血餅の安定)が組み込まれたフラップデザインであり,Cortelliniは骨欠損部を1つの部屋(room)と捉え,壁(wall)や屋根(roof)というわかりやすいたとえでそのアイデアを解説している7.まず,歯間部にMPPTもしくはSPPFな歯間乳頭部は剥離しない頬側の小さい外科の窓から骨欠損部にアクセスする▲デブライドメント後,血餅で満たされたその部屋(room)は骨壁(bony wall)と失われた骨壁の補助としての歯肉壁(soft tissue wall),そして再生スペースを維持する歯間乳頭部の屋根(roof)により血餅の安定に最適な環境となり骨欠損部は再生へと向かう.M-MISTを用いた歯間乳頭部での初期閉鎖率は97.8%であり,ほぼ100%に近づいた(参考文献7を元に作成).どの歯間乳頭保存切開を行い,頬側のみ小さい三角形のフラップを挙上する. ここで重要なポイントは“歯間乳頭を残す”ことである.歯間乳頭部は健全側のアタッチメントとしっかり結合しているため,骨欠損という部屋(room)の屋根(roof)の役割をし,歯間部骨欠損部の再生スペースの確保を担っている.骨欠損部へのアクセスはSBSWから行う.Chapter 4M-MISTを用いた歯周組織再生療法2009年に発表された, 改良型MIST

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