歯科技師・歯科技工士のためのゼロから始めるデジタル時代のインプラント補綴
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図1a インプラント周囲の軟組織は天然歯とは異なり歯根膜が存在しないため、そこからの血液供給はなく、骨膜からの血液供給しか見込めない。よって天然歯と同じように周囲組織を維持することはできない。図1b 丸で囲った歯肉の厚みおよび骨の裏打ちを確保することが重要である。そうなるとまず重要になるのはインプラントポジションである。つまり、インプラントポジションが唇頬側に寄ってはいけない。図2 本稿の内容を理解するための用語。18プラットフォーム付近に歯肉の厚みが確保できているサブクリティカルカントゥアクリティカルカントゥアスープラジンジバルカントゥアNeck profilePart 1 インプラント補綴で知っておくべき基礎知識Chapter5適切なカントゥアはじめにラント周囲軟組織に外的刺激が加わった場合の防御機構は天然歯と比較して弱いと考えられる。そのため、インプラント周囲軟組織の厚みを確保することが細菌などの外的刺激に対しての防御として重要になる。すなわち、インプラント周囲の辺縁歯肉の厚みがインプラント補綴の長期安定性に大きく影響する。そこで、インプラント周囲軟組織の厚みを増やすために必要なことを考えていきたい。 なお、本稿の内容を理解するための用語を図2に示す。エリアとカントゥアの名称歯科技工士:上原芳樹 インプラント周囲の軟組織は線維や血管の走行が天然歯とは大きく異なる。天然歯周囲の結合組織コラーゲン線維の方向がセメント質に対して垂直に走行しているのに対し、インプラント周囲では平行に走行している。また天然歯周囲の歯周組織の血液供給は歯根膜・骨膜・結合組織などから確保されるが、インプラント周囲では歯根膜から血液供給を受けることができないため、インプインプラント周囲に歯肉の厚みおよび骨の裏打ちを確保することが重要天然歯歯根膜からの血液供給の有無インプラント

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