天然歯を活かしたインプラント治療
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a脱臼性の外傷abbccdd はじめに 昭和57年2月、29歳のときに生まれ故郷で開業した。以来大過なく39年が経過し、そろそろ引退を考える歳である。大学院で歯科材料学を専攻したものの、臨床にはすぐには役立つことがなかった。ペリオ、エンドなどわからないことだらけの毎日が続き、それらを改善すべく猪突猛進で、論文検索、治療に邁進した。そして、ペリオ→エンド→外傷歯→歯牙移植と自分の興味は変遷して破折性の外傷略歴1977年 大阪大学歯学部卒業1982年 月星歯科クリニック開設2009年~2010年 国際外傷歯学会会長図1-a 単純歯冠破折(露髄をともなわないエナメル質からエナメル質への破折)。図1-b 複雑歯冠破折(露髄をともなうエナメル質からエナメル質への破折)。図1-c 歯冠-歯根破折(エナメル質からセメント質に及ぶ破折)。図1-d 歯根破折(セメント質からセメント質に及ぶ破折)。図2-a 亜脱臼(根尖部で脈管の断裂はともなうが歯の変位はほとんどない脱臼)。図2-b 側方性脱臼(唇側の骨折をともなって歯が側方へ変位した脱臼)。図2-c 埋入性脱臼(根尖側方向へ歯が骨内へ変位した脱臼)。図2-d 脱離(歯が完全に歯槽窩から離脱した脱臼)。きたが、振り返れば、外傷歯や移植から歯髄や歯周組織の治癒力について多くを学ぶことになった。 外傷歯は若年者に頻度が高いことから、できるだけ抜髄しない、被せない、抜歯をしない治療を行いたいと努力している。また、患者自身のエナメル質を可及的に多く、そして、長期間保存したいと願っている。どんな歯科材料(人工材料)もエナメル質を完全に補う性質を有してはいないのである。外傷歯学(とくに脱離歯の再植)から歯の移植学が発展した。歯科医師の移植学への興味は時代12月星光博Mitsuhiro Tsukiboshi愛知県開業天然歯を活かす!外傷歯の治癒能力、移植の可能性特別講演

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