どう診る? どう育てる? 子どもたちの歯列と口腔機能
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■遊びを取り入れたトレーニングの例■口テープを使って習慣化する■りっぷるくん(口唇閉鎖力測定器)図9a 口笛を吹く練習をしたり,遊び道具を使って口唇をしっかり閉じて,息をまっすぐ吹く練習をする.図10 睡眠時やテレビを観ているときなどに口が開いてしまう場合は,テープを貼って鼻呼吸を習慣化するのも有効.図9b 紙風船を,口を穴につけないで膨らませるように練習する.口唇をすぼめないと膨らますことができないため,口唇のトレーニングになる.図11 検査を行うときは,椅子に座らせ,背筋と頭部を真っすぐに伸ばし,正しい姿勢で行う.フロス(20cm以内)を通した「りっぷるボタン」を口腔前庭に装着し,牽引して口唇閉鎖力を測定する.図9c 頬をしっかりと膨らませて息を吹きだすため,口唇力を鍛えることができ,鼻呼吸の練習にもなる.慣れてきたら,手を使わずに口唇だけで風船を支えながら膨らませる練習をする.74児のモチベーションにもつながります(図11).4)咀嚼トレーニング 正常嚥下を習得し,舌の筋力が向上してきたら,チューイングガムを使った咀嚼トレーニングに移ります.咀嚼トレーニングでは,口唇を閉じて,左右均等な回数を噛む練習をします.また,食事をとおして咀嚼力を鍛えるために,次のことを意識してもらいます.①1回に口へ入れる量を少なめにして,30回は噛む.②噛むときは口を閉じて,左右の噛む回数を均等にする.③飲み込もうと思ってからあと5回は噛むことを意識する.④水分と一緒には飲み込まない2.5)習慣の改善 トレーニングをすることで舌や口腔周囲筋の筋力を向上させ,正しい嚥下を身につけることはできます.しかしながら,口腔機能の発達支援でもっとも難しいと感じるのは習慣の改善です.舌を低位に置いて下顎前歯にもたれるようにする習慣は,舌の筋力が向上し,正常嚥下を習得し,口を閉じる習慣が身についても,なかなか改善しません.無意識の行動を改善するためには,舌の動きを使ったトレーニング(図12),定期的な声かけ,日常生活のなかで注意すべき事項を視覚に入れるような工夫が大切です.たとえば,トイレや冷蔵庫など目につきやすい場所に「舌は上に!」「口を閉じよう!」などと目立つ色でPart1 子どもの口腔機能編口唇閉鎖力を鍛えるトレーニング

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